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2011年4月 9日 (土)

中国の放射線量とか

日本の「安心」「安全」を強調するつもりは全くないのだが(福島第一の収束もまだまだ先だろうし)、中国の線量(平常値)が高い。すでに、あちこちで話題になっているが、改めて確認してみた(中国環境保護部データ)。

http://haq.mep.gov.cn/gzdt/

4月8日のデータでは、拉薩が0.149μSv/h(185.4nGy/h)で、水戸の0.153μSv/hと同水準。最も低い南京が0.056μSv/h(69.4nGy/h)で、さいたまの0.058μSv/hと同水準。東京は0.085μSv/hで、広州の0.088μSv/h(110.3nGy/h)と同水準。

ちなみに、日本のデータは下記(文科省)を参照(みなさんご存じだろうけど)。

http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/syousai/1303723.htm

中国の線量が高い理由は、鉱物や石炭等の燃料の影響もあるだろうし、拉薩では標高の関係が大きいはず(つい大気圏内核実験の影響とかを考えてしまうが、関連を指摘するのは困難だろう)。

もちろん、福島の2.300μSv/hはかなり高く、このままの線量が続いたとして、年間では2.3×24×365=19872μSv=19.87mSvってことになる。食品や水、吸気中の放射性物質のことも合わせて考えると、楽観はできない。年配の方には直接の影響は少ないにしても、子供や若年者は心配だ。

で、何が言いたいかというと、関東在住の私たちは、今あわてても仕方ないってこと。そりゃ、事故以前に反原発運動がもっと効果を上げていればっていう後悔はしていい。将来の脱原発に向けた動きを早々に開始するのも必要かもしれない。でも、直近の不安や憤りに突き動かされるだけでは不足なんじゃないかと思う。

どうしても、感情に訴えかけるのが運動の王道みたいなイメージがある。恐怖や不安や怒り(現状否定型)、あるいは快楽や安心や満足(現状肯定型)を醸成して、マジョリティを獲得しようっていうのが一般的だし、「民主的」ってことになっている。

ただ、感情論だけでは話が進まないのも事実。いや、「感情」そのものは大切なんだけど、一定の「理性」が介在しないといけない。感情的な運動(交渉)がたどる道は、1.対抗者を全否定してスッキリする。2.相手の回答に一定の誠意が感じられ、(相手にとって実は痛くもかゆくもない)譲歩を引き出したところで満足してしまう。3.決裂してそれっきり。4.長期戦に持ち込んで、相手が疲れるまで待つ。のいずれかをたどることが多い。でも、必要なのは「実」を取ることだ。コンセンサスを得て、マジョリティを獲得すること自体は大切だが、自己満足に陥っちゃだめだ。

また、AかBのどちらかを選べって迫られても、間にはいろいろなバリエーションがあって、二者択一で論じると誰もついて行けなくなる。最低限の共通目標の下でゆるやかな統一をもった運動体を作るにはどうしたらいいのか、さめた頭で理性的に構想してほしいと思う。

人間が感情的な存在だっていう前提に立ちつつ、それを利用するだけじゃなく制御するような方向性が必要だ。一方で、問題意識を持った個々人が、自身の感情に酔わないよう気をつけながら、「同伴者」には最低限の共通目標以外で自由を保障することも求められる。

私がここでこんなことを言っても、仕方ないのはわかってる。ただ、どうにも危ういものを感じていて、原発危機によって噴出した感情の渦が、日本社会の方向性をミスリードしかねないような予感(妄想?)が消えない。震災後に目覚めさせられた日本人の社会的関心や「おもいやり」、奉仕の精神は、うまく導かれれば将来の希望につながる。だけど、逆の可能性もあるってことを頭の隅に置いておく必要はあると思う。

〔追記〕」「理性的」っていうのは、「論理的」と同じ意味じゃない。論理的な感情表現もあるわけだから。で、一次災害を免れた私たちは、まずはクールダウンしなくちゃと思うわけ。なにしろ、気が遠くなるほど先は長いのだ。

放射線被害について解説している東大放射線医療チームのHPが更新されて、有用な情報が増えた。この方たちまでしばしば「御用学者」にされるのが、個人的には非常に違和感がある。

http://tnakagawa.exblog.jp/

〔追記2〕単位の誤りを修正した。福島の年間空間被曝量を19872μSv/hとしていたが、ここは当然19872μSvでなくてはいけない。

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